和田光正作品集III・「輝跡」
『盛り上げ彩色』の素晴らしさは、平等院鳳凰堂の扉絵、鎌倉・室町時代の杉戸絵、桃山時代の金碧の襖絵・屏風絵に見ることができます。その素晴らしさを製法特許技法により着物・帯に甦らせたのが『京金彩』なのです。
既存の金彩が豪華さ・華麗さを追求しているのに比べ、京金彩は、多彩な金彩の美しさを影に入った色が引き立て、さらに純白の輝き、美しさが全体に溢れ(影の金彩は、あくまでも控え目に)と言ったように金彩の技法を踏襲しながら「金彩」を表に出さず影に入れ「色彩」を表に出しており、好対照な仕上がりとなっています。すなわち、京金彩はかつてない上品な趣を求め“職人和座”が極めた作品に特徴があると言えます。
宗達の号“伊年”印を工房作の証とした事にちなみ、匠の集団『職人和座』の生み出す全ての作品には、真の京金彩 を証明する工房“印”が入れられています。
宗達の号、あるいはその工房の名称とも言われる。[伊年]印は朱文の円印で、宗達とその派の画家たちが用いた数種類が知られ、署名なしに単独で画面 に捺される場合が多い。宗雪・相説らは、自署の下に同文印を使用している。
作品としての品質を高める事で、芸
術を文化として根づかせる工房の理
想を江戸初期の宗達工房に求め、新
たな染色文化を発信する事を目的に
設立された工房“職人和座”が京金
彩の全ての作品を生み出しているの
です。